【11月28日 東方新報】中国で電気自動車など新エネルギー車(新エネ車)市場拡大のために、近年課題となっているのが、中古車の流通問題だ。目下、新エネ中古車市場では、テスラ(Tesla)以外、なかなか納得いく買い取り価格がつかない。新エネ新車を買おうと計画している消費者にとって、わずか数年後に下取りに出しても「白菜価格」並みに価値が下がるようでは、ローンを組んでまで新エネ車を買おうという、という気になれないだろう。

 新エネ車はモデルチェンジのスピードが加速しており、車の流行があっというまにかわってしまう。テスラやBMW以外は3年以内の比較的新しい新エネ車でも、買い取り額は販売価格の4割を超えないものが多い。つまり15万元(約238万円)で買った新エネ車は3年後では5万元(約79万円)以下でしか売れないわけだ。だが中古車ディーラーの立場で言えば、その値段でも買い取りたくないぐらいだという。ある北京の新エネ車中古車販売業者は、「走行距離わずか200キロ程度で、2018年に5万元で買い取った車が、昨年は4万元(約63万円)程度、今年は3万元(約48万円)にもならなかった」と打ち明ける。

 北京の電気軽自動車についていえば、買い取った後、一か月半以内に販売できなければ、だいたい赤字を覚悟しなければならないといい、「まるで短距離競走のようだ」とそのプレッシャーを訴えた。しかも一台の新エネ車中古車販売で得られる利潤はわずか2000~4000元(約3万〜6万円)にすぎない。

 しかし、この業界にも希望がないわけでもない。一つはナンバープレート政策だ。浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)では、新エネ車優遇政策のため、新エネ車用のナンバープレートは条件を満たして申請すれば、即発行される。ガソリン車ならば、ナンバープレートはまず競売や抽選で、先に獲得する必要がある。新エネ車のような新しい形の車は、いきなり高価な新車を買うのではなく、中古車でまずは乗り心地を慎重に試したいという人も多く、ナンバープレート目当てに中古電気自動車を購入する人は増えてきているという。

 こうした政策の後押しもあって、業界全体の傾向は少し好転に向かい、新エネ車の買い取り価格率も徐々に上がってきてはいる。

 中国自動車流通協会がこのほど発表した「国内自動車中古車買い取り額報告」によれば、10月のハイブリッド車、電気自動車の買い取り価格率は9月より高く、テスラだけでなく、上海蔚来汽車(NIO)、理想汽車(Li Auto)など中国ブランドも市場流通量の増加に従い、査定がよくなってきている。同時に、新エネ車の各ブランド間の買い取り査定の差も徐々に縮小しているという。

 具体的にいえば、30万元(約475万円)以上のハイグレード新エネ車については、使用3年以内の買い取り価格率は、電動自動車は51.2%で、9月の44.4%よりも6.2%上昇。ハイブリッド車も39.2%で9月の37.6%を上回っている。

 新車流通量全体の上昇が、中古車市場での新エネ車の信頼や人気の上昇につながっているとみられている。2020年1~9月、国内新エネ車の新車累計販売は73.4万台で、うち中国産テスラModel3は7.99万台が売れている。テスラは別格で、中古新エネ市場でもテスラのシェアは高い。こうしたテスラのけん引力によって、30万元以上の上海蔚来汽車、理想汽車などの国産ブランドの新車販売数も急増しており、中古車のブランドプレミアム価格を押し上げているという。上海蔚来汽車の公式発表によれば、9月の新車販売台数は4708台で前年同期比133.2%増、今年の9月までの販売量は昨年一年全体をすでに超えている。理想汽車は理想ONEだけだが、9月に3504台を販売、単月の販売台数を引き続き更新している。

 一方、中古車のネットオークションサイト天天拍車(ttpai.cn)が発表した「新エネ中古車データ報告」によれば、13%の新エネ車は1万キロ運転しないうちに下取りに出されるのに対し、ガソリン車が走行距離1万キロ以内で売り出されるのは3%だという。63%の新エネ車は5万キロ走らないうちに中古車市場に出る、という。

 また業界全体の環境をいえば、新エネ中古車は目下、アフターサービス体系が完成されておらず、ネット販売に依存するやり方は、ビジネスモデルの規範化を困難にしているという指摘もある。行政とメーカーが協力して、下取り額の最低ラインを決めたり、充電スタンドや電池のリサイクルなどアフターサービスを充実させたりするなどして、新エネ中古車市場の流通環境を保障しないと、ユーザーの新エネ車の新車購買意欲も打ち消すことになる、と中古車業界関係者たちは指摘している。

 こうした指摘に対し、すでに一部メーカーは動き始めている。吉利汽車(Geely Automobile)の電気自動車ブランドのいくつかは、使用2年以内の新古車に関しては販売価格の7割で下取りすると売り出し時に発表している。威馬汽車(WM Motor)は使用2年以内で販売価格の最高6割でメーカー側が下取りするという方針を打ち出したことがあった。

 中国自動車工程学会の今年の年次総会で打ち出されたロードマップでは、2035年には低燃費車と新エネ車がそれぞれ新車販売台数の50%ずつを占めることが望ましい、としている。2025年までに、新エネ車新車販売量を新車販売全体の20%前後にするとしている。

 こうした目標を達成するためには、新エネ車の資産価値を比較的維持できる中古車流通市場環境を一層改善していく必要がありそうだ。(c)東方新報/AFPBB News