【11月23日 AFP】20か国・地域(G20)サミットは22日、新型コロナウイルスのワクチンを全世界に公平に分配できる状況を確保するため「いかなる努力も惜しまない」とした首脳宣言を採択した。新型ウイルス危機によって経済が打撃を受けた途上国を支援することも盛り込んだ。

 新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が深刻化する中、世界で最も裕福な国の集まりであるG20は、議長国サウジアラビアを拠点にオンライン形式で開催されたサミットで、今後の課題について統一した見解を採択した。

 サウジアラビアのサルマン国王(King Salman)は、「パンデミックの影響に立ち向かい、全世界の人々の豊かな未来を創造するため、これまで以上に」今、「協力の精神」が必要だと強調した。しかし、週末にかけて行われた「デジタル外交」の閉幕時の首脳宣言では、議題に挙がった課題の多くについて、詳細は盛り込まれていない。宣言は「安全で効果的なCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の診断、治療、ワクチンの研究・開発・製造・流通を支えるため、われわれは地球規模の衛生対策における目先の資金調達ニーズに対応する財源を動員した」とし、「全ての人々が安価で公平に利用できる状況を確保するため、いかなる努力も惜しまない」と記した。

 新型ウイルスのワクチンをめぐっては、12月初旬に接種開始を見込む米国をはじめ富裕国がワクチン接種計画を進める一方で、途上国は困難に直面していると、専門家は警告する。途上国では数十億人が、新型ウイルスの感染予防効果が証明された最初のワクチンを手に入れられない可能性があるという。

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は21日、各国首脳が表明した見解と同様、新型ウイルス危機は「G20にとっての試練」だと言明。「パンデミックに対する効果的な対応は、地球規模のものでない限りあり得ない」と強調した。しかし、最終的な首脳宣言ではワクチン確保のための莫大(ばくだい)な費用をどのように賄うかについては記されなかった。(c)AFP/Anuj Chopra