【11月21日 AFP】(写真追加)国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は20日、内戦下のイエメンが過去数十年で世界最悪となる飢餓に見舞われる危険が迫っていると警鐘を鳴らした。

 グテレス氏は、「即座に行動しなければ、大勢の人の命が奪われる恐れがある」と指摘。イエメンでは、国連など欧米諸国が後ろ盾につくサウジアラビア主導の連合軍の支援を受ける暫定政府と、イランが支援する反政府武装勢力フーシ派(Huthi)による内戦が5年にわたって続いている。

 グテレス氏の声明によると、飢餓の脅威が高まった理由として、国連が調整する救援プログラムの資金が大幅に減ったこと、イエメンの通貨の不安定性、内戦の当事者らが援助団体に課した「障害」などが挙げられる。

 米ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権は、イエメンの首都サヌアや同国北部の大部分を支配下に置くフーシ派をテロ組織に指定することを検討している。もしテロ組織指定されれば、多くの国はフーシ派を相手にして活動することが困難になる。

 複数の人権団体によれば、フーシ派当局との取引や税金処理、銀行システムの利用、医療従事者への支払い、食糧や燃料の購入、インターネットサービスの手配など、あらゆる面に影響が出る可能性があるという。

 米国からすでに制裁を受けているフーシ派への影響は少ないかもしれないが、新型コロナウイルスの流行により資金額が大幅に減ったことで援助プログラムはすでに縮小されており、イエメンの一般市民にはさらなる打撃になる恐れがある。(c)AFP