【11月19日 AFP】公共放送の英国放送協会(BBC)は18日、故ダイアナ元英皇太子妃(Princess Diana)がチャールズ皇太子(Prince Charles)との結婚生活の破綻を告白した1995年のドキュメンタリー番組をめぐり、元妃へのインタビューを実現させるため記者が偽造文書を利用したとの疑惑について、調査を直ちに開始すると発表した。調査の指揮は元最高裁判事が執るという。

 調査の実施は、元妃の弟スペンサー伯爵(Earl Spencer)が求めていた。伯爵は、BBCの看板ドキュメンタリー番組「パノラマ(Panorama)」のマーティン・バシル(Martin Bashir)記者が皇太子妃(当時)への直接インタビューを取り付けるため、自分に偽造文書を見せて姉の説得に当たらせたと主張している。

 1995年11月に放送された問題のインタビューは、元妃がチャールズ皇太子との結婚生活について「3人が絡んでいる」と話し、皇太子と現在の妻カミラ夫人(Camilla, Duchess of Cornwall)の愛人関係を暴露したことで知られている。元妃は自身の不倫についても明かし、番組は当時過去最高となる2280万人が視聴した。

 翌96年、元妃とチャールズ皇太子は正式に離婚。元妃は97年に仏パリで交通事故により死去した。

 このインタビューをめぐり、バシル氏が不正な手段で元妃にインタビューを承諾させたとする疑惑がこのほど浮上した。バシル氏のついたうその中には、元妃の側近の中に金銭と引き換えに情報をリークしている者がいるとの指摘もあったとされる。

 当時無名だったバシル氏は、このインタビューの後に国際的なキャリアを築いていった。BBCの発表によれば、調査では主にバシル氏の役割に焦点が当てられる。「スペンサー伯爵家の元使用人や(中略)王室関係者に金銭が支払われていたとする偽造の銀行明細書」も調査対象に含まれている。

 今回の疑惑についてバシル氏はコメントしていない。BBCによれば、同氏は新型コロナウイルスに感染し、体調がひどく優れないという。

 BBCはバシル氏の取材手法をめぐる疑惑が最初に明るみに出た際の調査で、隠ぺい工作を行ったと批判を浴びていた。(c)AFP