【11月18日 AFP】陸上女子800メートルの女王キャスター・セメンヤ(Caster Semenya、南アフリカ)が、ワールドアスレティックス(World Athletics、世界陸連)が定めたホルモン値の規定撤回を求めている問題で、欧州人権裁判所(ECHR)に提訴する意向であることが分かった。担当弁護士が17日に発表した。

【特集】キャスター・セメンヤをめぐる「性別」問題

 ワールドアスレティックスは2018年、セメンヤら「体の性のさまざまな発達状態(性分化疾患、DSD)」という遺伝的変異がある選手は、体内のテストステロン(testosterone)値を抑える薬を摂取しない限り400メートルから1マイル(約1600メートル)の種目には出場できないという規定を定めた。以来セメンヤは、連盟との争いを2年にわたって続けている。

 担当弁護士は「われわれは欧州人権裁判所でワールドアスレティックスと争う」「相手が自らの過ちを認め、セメンヤ氏の大会出場を阻むルールを撤回することを引き続き願っている」と発表。具体的な日取りは明らかにしなかった。

 セメンヤは強い意志で処分との闘いを続けているが、スポーツ仲裁裁判所(CAS)とスイス最高裁での異議はどちらも失敗に終わっている。

 女性を自認し、女性として競技に臨んでいるセメンヤだが、DSDの影響でテストステロン値が高く、ワールドアスレティックスは、セメンヤのような筋肉質の体形は競技で過剰に有利にはたらくという立場を取っている。しかし、南アフリカの関係者はこの主張に猛反発している。

 セメンヤはこのところ、ルールの対象外である200メートルを主戦場にしているが、2021年の東京五輪で同種目を走るかは不透明となっている。(c)AFP