■「アルツハイマー病に対する社会の認識を変えたい」

 村の主な目標の一つは、住民たちが、大切な人との親密な関係を保ちながら、世間と切り離されることのない生活を送ることにある。

 施設のウェブサイトには、「ランド(Landes)プロジェクトによって、アルツハイマー病に対する社会の認識も変えていきたい。この種の認知症がもたらす行動(中略)への認識を高めれば、この病気に対する見方を変える一助になるはずだ」と書かれている。

 入居者は5ヘクタールの広さの敷地から出ることはできないが、静かな散歩道、池、公園もある。特に人気があるのは、公園のぶらんこだ。

 村の心理士ナタリー・ボネ(Nathalie Bonnet)さんは、「6月に越してきて以来、それぞれが快適に過ごし、平和な自由を取り戻せている」と説明する。

「(入居者は)モチベーションを取り戻し、日々の活動を再開している。不安に襲われたり、うつっぽくなったりしても、対処する人が常にそばにいるので、早めに落ち着きを取り戻せる。その結果、抗うつ剤の処方量を減らすことができる」と話した。

 入居者のマリー・クリスティアーヌ・アングラン(Marie-Christiane Engrand)さん(84)は、「必要なものは何でもあります。スポーツもできるし、美容室や図書館もある。いろいろできるんです。本が好きなら午後はそこで過ごせます」と話し、「本当にすてき。退屈しません。時間が足りない!」と続けた。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で外部との接触はしばらく制限されているが、村では、いずれ近隣住民に対して、コンサートや祭りに招き、美容院などを利用する機会を提供することも考えているという。

 映像は9月9日撮影。(c)AFP/Cyrille PITOIS