【11月17日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米政権は16日、アラスカ州の自然保護区内で石油やガスを採掘する鉱区候補地を発表し、鉱区のリース権購入を希望する石油会社を募った。保護区内での採掘計画には環境破壊との声もあるが、政権移行を目前に計画を推し進める構えだ。

 米内務省の土地管理局(Bureau of Land ManagementBLM)は、北極圏国立野生生物保護区(Arctic National Wildlife Refuge)内の約160万エーカー(約65万ヘクタール)の区域に指定された鉱区候補地について、17日からの30日間、リース権購入希望者と候補地に関する意見を正式に受け付けると発表した。今回の動きは、石油関係者が長い間開発を求める一方、環境保護団体によって守られてきた区域の開発の道を開くことを目指すもので、一部の主要銀行は、同保護区でのプロジェクトには融資しない方針を表明している。

 BLMによると、17日に米連邦行政命令集(US Federal Register、官報)が正式に意見公募期間を設ける告示をし、リース権売却日は「売却日の少なくとも30日前に発行される」新たな官報の告示で明らかになるという。BLMのアラスカ州責任者、チャド・パジェット(Chad Padgett)氏は「リース権売却を成功させるには、どの区域でリースできるかに関し業界から意見を聞くことが不可欠だ」と述べた。今月の大統領選で当選を確実にしたジョー・バイデン(Joe Biden)氏は、来年1月20日に大統領に就任する見通し。

 環境保護団体は長い間この計画に反対してきた。8月には、同計画は移動するカリブーやホッキョクグマのすみかとなっている、手付かずの自然環境を取り返しがつかないほど害するとして、トランプ政権の提案に異議を唱える訴訟を起こした。(c)AFP