【10月30日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米政権は29日、絶滅の恐れがあるとして狩猟や捕獲が禁じられていたタイリクオオカミ(ハイイロオオカミ)について、「絶滅の危機に瀕(ひん)する種の保存に関する法律(Endangered Species Act)」(種の保存法)に基づく規制を撤廃した。動物保護団体は決定を非難している。

 デービッド・バーンハート(David Bernhardt)内務長官は、「トランプ政権が法律と入手可能な限りの科学的・商業的データに基づいて種の保護に取り組んできた結果だ」と述べた。

 内務省は、ハワイとアラスカを除く米48州でタイリクオオカミの個体数は6000匹を超え、「北ロッキー山脈(Northern Rocky Mountains)と五大湖(Great Lakes)西部での合計目標数をはるかに上回った」と主張している。

 この決定により、タイリクオオカミに関する規制は各州に移管され、ミネソタ州、ミシガン州、ウィスコンシン州では2014年の裁判所判断で禁止されている狩猟や捕獲が再開できるようになる。この3州はいずれも、来月3日の米大統領選で接戦が予想されており、トランプ氏は狩猟規制の撤廃で地元有権者へのアピールを狙っている。

 全米でかつて非常に恐れられたタイリクオオカミは、政府後援の狩猟や捕獲、毒殺計画により、1930年代までに多くが姿を消し、1974年に絶滅危惧種に指定された。

 動物保護団体は、タイリクオオカミの個体数回復は以前の生息範囲の15%にとどまっているとして、保護規制撤廃は時期尚早だと指摘している。(c)AFP