【11月16日 AFP】英国は、古代遺跡「ストーンヘンジ(Stonehenge)」付近に道路トンネルを建設する計画を承認した。交通渋滞の緩和が目的とされ、考古学者らからの強い抗議を押し切る形となった。

 イングランド南西部ウィルトシャー(Wiltshire)にある、5000年前に建てられたとされる新石器時代のこの環状列石は、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)に登録されており、英国で大きな人気を誇る観光名所の一つ。昨年は160万人の観光客が訪れた。

 グラント・シャップス(Grant Shapps)運輸相は12日、交通量の多い道路の代替となるトンネルの建設計画を承認。現在の道路はストーンヘンジから165メートル以内の場所を通っており、通行車の運転手は遺跡を見ることができるが、観光客にとっては騒音源となっていた。

 考古学者らや複数のNGOが構成する「ストーンヘンジ連盟(Stonehenge Alliance)」の代表で、作家のトム・ホランド(Tom Holland)氏は、計画の承認は「衝撃的で、恥ずべき決断」だと非難。トンネルは「英国の最も貴重な先史時代の景観に、大量のコンクリートとアスファルトを注入することになる」と指摘している。

 一方で、同遺跡を管理する慈善団体「イングリッシュ・ヘリテージ(English Heritage)」は「歴史的」な判断だとたたえ、騒々しい道路がなくなることで「ストーンヘンジはようやく、周囲に広がる先史時代の景色と再びつながる」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 英政府は2017年に、全長約3.2キロとなる予定のこのトンネルの建設計画を最初に承認していた。今回17億ポンド(約2350億円)の予算が割り当てられ、道路管理当局ハイウエーズ・イングランド(Highways England)によれば、来年着工予定だという。(c)AFP