【7月30日 AFP】何の目的で、どのように建造されたのか──何世紀にもわたって歴史学者や考古学者らを悩ませてきた英イングランド南部にある新石器時代の遺跡「ストーンヘンジ(Stonehenge)」をめぐる多くの謎のうち、巨石がどこから運ばれてきたのかを解明したとする研究結果が29日、学術誌「サイエンスアドバンシス(Science Advances)」に発表された。

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 ストーンヘンジを構成する巨石はサルセン石と呼ばれる砂岩だが、英ブライトン大学(University of Brighton)のデービッド・ナッシュ(David Nash)教授(自然地理学)を筆頭著者とする論文によると、その大半は遺跡から25キロ離れたウィルトシャー(Wiltshire)のウエストウッズ(West Woods)から運ばれたとみられるという。

 ウエストウッズ付近では、先史時代のヒトの活動の痕跡が多数見つかっている。

 ナッシュ教授がAFPに語ったところによると、研究チームはまずポータブル式のX線装置を用い、最大で高さ9メートル、重さ30トンにもなるサルセン石の化学組成を分析した。すると、ほとんどの石は組成が同じで、主要な産出地は1か所だと考えられることが分かった。

 次に、質量分析機器を使い、1958年に巨石の一つからくりぬかれた円筒形試料2点をより高度な分析にかけた。この分析結果を巨石の産地の候補20か所と比較した結果、ウエストウッズの砂岩が最も近い特性を示した。

 ナッシュ氏は今回用いた手法について、たとえばストーンヘンジとウエストウッズの間で巨石の破片が発見できれば、巨石を運んだ経路を推測するなど、残された考古学上の謎を解明できるかもしれないと述べている。

 今回の発見は、巨石がほぼ同時期にストーンヘンジまで運ばれたとする仮説を補強するものだ。この仮説では、巨石はストーンヘンジ成立の第2段階に当たる紀元前2500年前後に運ばれ、建造した人々が高度に組織化された社会に属していた可能性を示唆しているとされる。
 
 また、一説には巨石の一つ「ヒールストーン(Heel Stone)」は遺跡近郊から運ばれ、他の巨石より早くに設置されたといわれているが、今回の発見はこの仮説と矛盾している。(c)AFP/Issam AHMED