【11月15日 東方新報】中国で、容姿やファッションにこだわる男性の女性化が進んでいるようだ。男性向け美容整形や植毛手術、化粧品などがZ世代(1995年~2009年生まれ)の新たなニーズとして注目されている。

 ビッグデータマーケティングプラットフォームの阿里媽媽(アリママ、Alimama)が先月「双11投資指南」(11月11日の独身男性デーに向けた投資指南)リポートで指摘したところによると、最近の中国の若者の消費傾向として、Z世代が52%を占めており、この世代の男性たちをターゲットにした市場が注目されている。

 こうしたZ世代男性の中には、フェイシャルパックやアロマオイル、制汗剤、オーラルケア商品など美容やケア商品を偏愛する人が多く、また同時に健康食品やトースター、コーヒーメーカー、スムージーメーカー、ロボット掃除機などしゃれたライフスタイルを追求する傾向にあるという。

 男性向け化粧品も新たな市場として投資家たちの注目を集めている。「2020中国快消品早期投資機会報告」によれば、男性化粧品市場規模はこの2年の間に50%増と拡大。

 シャネル(Chanel)のボーイ・ドゥ・シャネル(Boy de Chanel)シリーズの男性用ファンデーションやアイブロウ、リップバームのほか、日本のポーラ・オリビス(Pola Orbis)などのリップやネイルが売れ筋だという。

 また美容整形プラットフォーム「新氧(Soyoung)が発行する2019年美容医療産業白書によれば、過去一年で「新氧」の男性52.3%増加しており、男性消費者の平均客単価は7025元(約11万円)と女性の2.75倍であるという。中でも24、25歳あたりの90年代生まれが絶対的主力消費者だという。ちなみに中国の医療美容医は人口1000人当たりで比較すると日本の半分、韓国の六分の一とまだまだ少ない。

 中国の男性が美容、外見にこだわるのは、単に個人の美意識、ナルシシズムの問題だけではない。

 中国新聞社(China News Service)が取材したとある28歳の男性は、来年春節にお見合いするため、今年2月から9月にかけて、脂肪吸引、植毛、二重まぶた手術、そして耳の軟骨を鼻先に移植する隆鼻手術を行った。

 この男性によれば、自分自身はさほど容貌に固執してはいないが、何度もお見合いを挫折し、その理由が自分の容貌にあることに気付いたという。実際、美容整形をしたあとお見合い仲介者のもとに行くと、以前より数段ハイレベルの女性を紹介されるようになったという。中国は非常に外見や要望を重視する社会で、外見が悪いと出世に響く、あるいは縁起が悪いという見方も根強い。


 中国美容整形協会美容医療機構分科会の田亜華(Tian Yahua)副会長の元に来たある38歳の男性は、自分の同期の同僚が、自分を指しおいて主管に出世した理由について、容姿の悪さが関係あるとして、ヒアルロン酸注射を受けに来たという。

 北京の美容整形外科関係者によれば、中年には、人相と運命が関係あるという信じる人が多く、特に男性は鼻の高さや形によって財運や出世運が変わると考える人が多い。風水師に事業運について相談して、美容整形を勧められたという人もいるという。

 こうした中国男性の心理を考えると、化粧品や美容医療市場のターゲットはZ世代の若者向けだけでなく、広い範囲の男性に広がっていく可能性がある。 (c)東方新報/AFPBB News