【7月25日 東方新報】夏休みに入り、中国の美容形成業界は学生でにぎわっている。美容形成のコンサルティングなどを手がける「更美(Gengmei)」APPの王思璟COOは、「この時期に美容形成を行う顧客の半数は学生。学生は年間売り上げの40%~50%を占めている」と話す。

 市場調査を行う清研靈智信息諮詢と問巻吧が7月に共同で行ったアンケート調査によると、62%の学生は整形に肯定的で、そのうち49.5%が「美しくなれるから」と答えた。整形をする理由として、38.5%の学生は「外見がいい方が仕事や恋人が見つかりやすいから」と回答した。「身近に整形をした友達や同級生がいる」と答えたのは、76.7%の学生に上った。

■衝動的にローンを組み整形

 社会経験も少なく経済力も低い学生が、インターネットなどで有名人に影響されローンを組むなどして身の丈に合わない整形をする問題が目立つようになっている。更美APPの王COOは、「インフルエンサーによる動画配信などが流行し、若者の外見に対する需要が増えたが、経済力が低い学生は分割払いなどして衝動的に整形をする」と話す。

 学生を対象に行ったアンケートでも、支払い方法の半分が分割払いだった。

 2016年に衝動的に美容形成手術を受けたという橙さんは、手術にかかった1万2000元(約19万6000円)を分割払いにした。当時、インターンになることが決まっていたため、毎月3000元(約5万円)の給料で1年以内に返済が終わると考えていたが、実際は生活費を差し引くと分割でも返せなかった。

 両親に言い出せないまま、ローンをローンで返す状態に。翌年末には9社のローン会社から借金しており、返済は3万3000元(約54万円)まで膨れ上がってしまい、両親に助けを求めるしかなかったという。

■「ブラック美容形成医」の氾濫、整形患者の70%が整形失敗の修復という医者も

 現在、北京だけでも約500団体あるという美容形成機関だが、正規でない医療機関を名乗る団体は、その3倍存在するという。しかも、中国には美容形成についての専門資格制度がなく技術の質を証明する手段がない上に、誘惑に負けて安い料金を掲げる正規でない機関を選び、手術に失敗する学生も多いという。

 ある医師は、整形に来た患者の70%が、修復希望だったことがあるという。「整形は慎重にしなければならない。だまされた金はまた稼げばいいが、体に問題が起これば、一生影響してくる。学生はもっと冷静になるべきだ」と話している。(c)東方新報/AFPBB News