【11月11日 AFP】今年のハリケーンシーズンが始まって以降、勢力が強く名前が付けられた熱帯暴風雨が計29個となり、過去最多を更新した。米国立ハリケーンセンター(NHC)が10日、明らかにした。これら熱帯暴風雨により、米南東部やカリブ海(Caribbean Sea)、中米地域は甚大な被害を受けた。

 熱帯暴風雨は大西洋上で風速17.2メートルを上回ると名前が付けられる。今期発生した熱帯暴風雨のため避難を強いられた被災者はすでに数千人に上り、被害総額は合計200億ドル(約2兆1000億円)近くに上っている。

 NHCはツイッター(Twitter)で、今期発生し命名された熱帯暴風雨は「シータ(Theta)」で29個目となったと発表。2005年の28個の記録を上回ったと明らかにした。05年は米ルイジアナ州ニューオーリンズ(New Orleans)に甚大な被害をもたらした、大型ハリケーン「カトリーナ(Katrina)」が発生した年。NHCはまた、今後5日以内に、名前が付く30個目の熱帯暴風雨が発生する恐れがあると指摘した。NHCは、2020年の熱帯暴風雨の数があらかじめ用意されたラテン語の名前の数を上回ったため、ギリシャ文字による命名に切り替えることを強いられている。

 ハリケーンの勢力が増している一因について、専門家らは気候変動により海水の温度が上昇していることがあると指摘。2020年に命名された熱帯暴風雨の数が増えたことについては、1980年代以降の大西洋中央部の大気汚染緩和や、太平洋赤道域の海面水温が平年より低い状態となるラニーニャ(La Nina)現象との関連を示唆している。(c)AFP