【11月10日 AFP】フランス製薬大手サノフィ(Sanofi)の抗てんかん薬「デパキン(Depakine)」を妊婦が服用したことにより、数万人の胎児に先天異常が発生した問題で、医薬品・保健製品安全庁(ANSM)は9日、過失致死傷罪で予審対象となったと発表した。

 デパキンをめぐっては、妊婦の服用により子どもの障害につながった事例が1万5000~3万件に上ることが、複数の調査で明らかになっている。

 同薬は1967年以降、てんかんや片頭痛、双極性障害の治療薬として使用されている。しかし妊婦が服用すると、生まれた子の先天性障害や自閉症、学習障害などのリスクが10~40%高まることが研究で判明した。

 ANSMは「被害者の苦しみにできる限りの対応を行ってきた」と述べるとともに、司法への協力を継続するとの方針を示した。

 今年7月には、裁判所が国の責任を認め、巨額の賠償金の支払いを命じた。裁判所顧問は、保健当局はデパキン使用によるリスクについて、先天異常は1983年、学習障害や自閉症は2004年から把握していたと指摘している。

 またサノフィも、過失致死罪で予審対象となっている。同社は被害者の家族から、妊娠中の同薬服用のリスクの警告開始まで長い間放置したとして提訴されている。(c)AFP