■真実を求めて

 英メディアの報道によると、ロンドン警視庁(Metropolitan Police ServiceScotland Yard)が1968年にベトナム戦争(Vietnam War)反対運動を監視するために、いわゆる「特殊任務班(Special Demonstration Squad)」を設置して以降、少なくとも139人の捜査官が1000以上の団体に潜入してきたという。

 潜入対象の大半は左派組織で、労働組合や環境団体、反人種差別や平和主義、フェミニズムを掲げる団体などだが、極右組織も対象とされた。

 潜入捜査被害者弁護団のまとめ役を担うリディア・ダゴスティーノ(Lydia Dagostino)弁護士は、被害者の中には「ひどく傷つき、決して立ち直れない」女性もいると語った。

 警察は2015年、複数の女性に対し謝罪し、損害賠償を支払った。さらに今週、「捜査対象」との性交渉は現在は認められておらず、潜入捜査は「明確な倫理指針と法的枠組み」に基づいて行われていると述べた。

 だがケネディー捜査官と人生を共にしていたウィルソンさんにとって、この言葉は大した慰めにならない。

 ダゴスティーノ氏は、意図的な「感情操作」は潜入捜査官がよく使う手法だと述べ、本件では審理の傍聴やインターネット配信が認められていないことについて、「国家による隠蔽(いんぺい)工作」だと非難した。(c)AFP/Martine PAUWELS