【検証】SNSで出回った「米郵政公社の職員が票盗み逮捕」は誤り
このニュースをシェア
【11月7日 AFP】米・カナダ国境で逮捕された米郵政公社(US Postal Service)の職員が「盗んだ票」を所持していたとする投稿が、ツイッター(Twitter)で1万7000回以上リツイートされた。しかしこれは、誤解を招く情報だ。
米司法省によると、身柄を拘束された郵政公社の職員が所持していたのは未配達の郵便物で、車内から押収された813通からは、白紙の不在者投票3通のみが見つかった。拘束理由は選挙妨害ではない。
「米郵政公社の職員、車のトランクに盗んだ票を入れ、カナダ国境で拘束」という11月5日付の投稿は、フェイスブック(Facebook)やインスタグラム(Instagram)でもシェアされた。
投稿された記事のリンクをクリックすれば、正確な情報を確認できるのだが、ソーシャルメディア上では、寄せられたコメントから散見されるように、多くの人がこの見出しで、不正が行われている証拠を示す出来事だと早合点してしまった。記事には、拘束された人物が選挙妨害の目的で票を「盗んだ」とは一切書かれていない。
司法省の発表によると、カナダ・オンタリオ(Ontario)州と米ニューヨーク州を結ぶピース・ブリッジ(Peace Bridge)国境で今月3日、国境警備隊が日常業務の一環として検問を行っている最中に、郵政公社の男性職員の車から郵便物813通を発見。その中に3通の不在者投票が含まれていたとみられている。
米ニューヨーク州バファロー(Buffalo)にある連邦検事局は、投票用紙は同州エリー(Erie)郡の選挙委員会から送られたもので、「用紙は未記入だった」とし、この男性職員は取り調べで「郵便物は届けるつもりだった。(持ち出したまま)郵便局に戻し忘れていた」と供述していることを明らかにした。
男性職員は、「郵便配達の遅延または妨害」行為で最大で禁錮5年、または25万ドル(約2600万円)の罰金が科される可能性がある。
AFPはこれまで、2020年の米大統領選をめぐり、不正とされる主張を複数検証し、虚偽であることを証明してきた。今回の大統領選では、新型コロナウイルスの流行を受け、前例のない数の有権者が投票所に赴くより安全とされる郵便投票を選んでいる。(c)AFP