■PS5の「成功を左右する」ゲームソフト

 これまでのところ、PS5への関心および需要は高いとみられており、ソニーも生産目標を引き上げたとされている。

 しかし生産目標の達成については、部品供給業者に左右されることとなる。PS5のプロセッサー(CPU)と画像処理装置(GPU)の製造を担う台湾の「TSMC(台湾積体電路製造)」は、すでに次世代通信規格「5G」対応スマートフォン用チップの製造に追われている。

「ソニーが提供するものであれば売れる」と話すのは、楽天証券経済研究所(Rakuten Securities)のチーフアナリスト、今中能夫(Yasuo Imanaka)氏だ。同氏は、PS5の販売台数が2000年に発売されたPS2の1億5700万台を抜くこともあり得ると考えており、「TSMCがどこまでつくれるかにかかっている」と述べる。

 Xboxに対抗する上で重要となるのは、限定作品を含むゲームタイトルの拡充で、これについては、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(Sony Interactive Entertainment)のジム・ライアン(Jim Ryan)代表取締役社長も「成功を左右する」と話している。

 その切り札の一つは、PS5と同日に発売される「スパイダーマン マイルズ・モラレス(Spider-Man: Miles Morales)」だ。前作「Marvel’s Spider-Man」は、PS4用ゲームとして最も売れたタイトルのうちの一本となった。

 スパイダーマン マイルズ・モラレスを手掛けたのは、ソニーが昨年2億2900万ドル(約236億8000万円)で買収した米国のゲーム製作会社「インソムニアック・ゲームズ(Insomniac Games)」だ。

 コストが増大し続けるゲーム開発を自社化するという、業界のトレンドを象徴する動きとなったインソムニアック・ゲームズの買収で、ソニーが所有するゲーム製作会社およびスタジオの数は14となった。

 マイクロソフトも9月、米首都ワシントンのゲーム製作会社「ゼニマックス(ZeniMax)」を75億ドル(約7700億円)で買収している。買収額として、これは記録的な数字だ。