■見通せない連邦最高裁の態度

 選挙陣営、あるいは候補者自身が州の規定に対して訴え出る場合には、連邦裁判所や連邦最高裁へ向かう前にまず州の司法制度で用意されている選択肢を尽くさなければならない。

 トランプ陣営は、郵便投票の締め切り延長に対してすでに起こされていた訴訟に便乗することで、高等裁判所で自らの不利益を主張する可能性を高めた。

 だが連邦最高裁は、各州の州法で定められた投票方法に関与することに対して慎重な姿勢だ。もしも関与すれば、独立した機関としての自らの地位を危うくすることも、2000年の大統領選で実質的にブッシュ氏に勝利をもたらした経験から悟っている。

 連邦最高裁に持ち込まれれば、9人の最高裁判事の政治的バランス(保守派6人、リベラル派3人)が焦点となる。特に最も厳しい目が向けられるのは最も新しい判事、つまり先月トランプ氏自身が指名した保守派のエイミー・コニー・バレット(Amy Coney Barrett)氏だ。

 トランプ氏は、バレット氏の任命を急ぐ理由の一つは大統領選関連の訴訟を視野に入れてのことだと繰り返し述べていたため、バレット氏の上には就任早々暗雲が垂れ込めている。

「連邦最高裁は、必ずしも介入するとは限らない」とミュラー氏はいう。「2000年の場合はそう感じたのだろうが、今回もまた同じように感じるかどうかは、必ずしも明白ではない」 (c)AFP/Paul HANDLEY