【11月2日 AFP】米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)所長は1日、米国の新型コロナウイルス対策を至急変更するよう求めた。大統領選の選挙日を目前に控え激戦の選挙戦を展開しているドナルド・トランプ(Donald Trump)陣営は、ファウチ氏を痛烈に批判した。

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 米政府に従事するトップレベルの科学者の一人であるファウチ氏は、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)とのインタビューで、国民の健康習慣に「急激な変化」をもたらさない限り、米国は「多大な苦痛」に向かっていると警告した。気温が下がりインフルエンザが流行し始める中、多くの病院には既に大きな重圧がかかる。ウイルス対策を無視する米国人も多い。ファウチ氏は「これ以上あり得ないほど悪い状況」と指摘し、「状況は良くない」と話した。

 これを受け、ホワイトハウス(White House)のジャッド・ディア(Judd Deere)報道官は、ファウチ氏を痛烈に批判。「大統領のコロナウイルスのタスクフォースのシニアメンバーであり、このパンデミック(世界的な大流行)を通してトランプ大統領の行いを称賛してきた人物であるファウチ博士が、選挙の3日前になって政治行動に出る選択をしたのは受け入れ難く、(博士の)いかなる規範とも相いれない」と発表した。さらに、ディア氏はファウチ氏について「メディアで大統領を批判し、大統領の対立候補を称賛することで、自身の政治的傾倒を明らかにする選択をした」と非難した。

 米政府の新型ウイルス対策タスクフォースの筆頭に立つファウチ氏は以前、トランプ氏に対しほぼ毎日ウイルスについて報告していた。しかしファウチ氏は、トランプ氏が自身の助言をもう求めていないと述べた。

 一方、ファウチ氏は大統領選民主党候補のジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領については前向きな発言を展開。ワシントン・ポストに対し、バイデン陣営はウイルス対策を「公衆衛生の観点から真剣に受け止めている」と指摘した。

 10月半ば、トランプ氏は電話会議でファウチ氏のことを「大失敗」と呼んで批判した。(c)AFP