【11月26日 AFP】コロナ禍での弱い経済と高い失業率に直面する米国で、スタートアップ企業が記録的な勢いで誕生している。

 この動きを後押ししているのは、金利の低さと融資に前向きな銀行、それと蓄えのある人々の存在だ。外出機会の減少と政府の景気刺激策がその背景にはある。

 米国勢調査局(Census Bureau)によると、7月から9月までに設立された企業は約160万社に上る。四半期で企業設立が100万件を超えたのは初めてで、これまでの記録を大きく塗り替えた。

 12か国で起業家教育に取り組むNPO「ネットワーク・フォー・ティーチング・アントレプレナーシップ(Network for Teaching Entrepreneurship)」のJ・D・ラロック(J.D. LaRock)代表は、「新型ウイルスの世界的な流行によって、新規事業立ち上げへの関心が明らかに高まった。理由は単純だ。人々が仕事を失っているためだ」と述べる。

「世界が変化していること、新たなニーズが存在していることに人々は気付きつつある」と同代表は言う。

■起業する以外に方法がない

 新型ウイルスの世界的な流行が始まって以来、米国の経済活動は数か月にわたって停滞し、その間に2000万人以上が職を失った。

 復職できずに失業手当の給付が続いているケースは多く、また、なかには仕事を続けることができていたとしても、収入が激減しているケースもある。

 サービス業や観光業といった業種での低迷が続くなか、一部の人にとっては、起業する以外に生活の糧を得る方法はないのだ。

 公式のデータでは、スタートアップが多く誕生したセクターの詳細までは分からない。ただ、センター・フォー・アメリカン・アントレプレナーシップ (Center for American Entrepreneurship)のジョン・ディアリ―(John Dearie)氏は、こうした起業の多くは食事の宅配サービスといった新型ウイルスの流行に関係しているものが多いと話す。

 その一方で、米メリーランド大学(University of Maryland)のジョン・ハルティワンガー(John Haltiwanger)氏は、オンラインショッピングのようなトレンドは、コロナが流行して人々が家にこもるようになる前から見られていたと指摘する。

「こうした変化の一部はより永続的なものとなり、その流れを手助けできる事業者はうまくやることができるだろう」 (c)AFP/Julie CHABANAS