【10月31日 AFP】米大統領選の世論調査では、民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)候補が現職のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領に対して全国で10ポイント前後の安定したリードを維持、激戦州でもそれより差は小さいものの優位を保っている。

 だが、2016年の大統領選では、トランプ氏が民主党のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)候補に驚くべき逆転勝利を果たした。そのため、共和・民主両党は世論調査に慎重な態度を取っている。

■2016年の世論調査の問題点は?

 世論調査会社イプソス(Ipsos)のクリス・ジャクソン(Chris Jackson)氏は、投票日前日の世論調査では、クリントン氏が全国的にはわずかにリードしていることを正確に予測していたが、トランプ氏が最終的には勝利した中西部激戦州の一部の地区で、世論調査が不正確だった、とAFPに説明した。

 その原因の一部は、調査サンプルの中で、トランプ氏に投票した非大卒の白人住民の比重が過小にされていたことだ。

 調査会社の大半は、今回はそのような誤りが起きないよう、方法を是正したという。

 調査会社は、一貫性にも注目している。今年の春以降、バイデン氏は常にリードしており、その差は平均して4ポイントを下回ることはなかった。

 それと比較すると、トランプ、クリントン両氏の支持率の推移ではグラフの線が2度交差しており、先行きの見えない選挙戦を示唆していた。

 さらには米国の両極化が進み、最後の瞬間に勝負をひっくり返すような浮動票は大幅に減っている。

■隠れトランプ支持者は?

 トランプ氏は常に物議を醸しているため、調査会社にトランプ氏支持を明言しない支持者がいると、一部では考えられている。

 トラファルガーグループ(Trafalgar Group)は共和党が好む世論調査会社で、隠れ支持者の存在を把握する調査方法の使用を模索している。2016年選挙では、ペンシルベニアとミシガン両州でのトランプ氏勝利を予想した数少ない調査会社の一つだ。

 だが、今回はトラファルガーグループでさえ、ペンシルベニアやウィスコンシンといった激戦州でバイデン氏有利としている。

 4年前の選挙では、実業家で政界の新人トランプ氏は未知の存在で、そのような候補者を調査会社が評価するのは常に困難だ。

 イプソスのジャクソン氏は「今ではトランプ氏については誰もが何かしら意見を持っている。だからドナルド・トランプへの驚きは(2016年と)同じレベルではない」と語る。