【10月28日 AFP】インド東部ビハール(Bihar)州で28日、新型コロナウイルス流行後に行われるものとしては世界最大の選挙の投票が始まった。政府はマスク着用とソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)を守るよう呼び掛けているが、多くの人はこれを無視。投票所はすし詰め状態だった。

 有権者約7000万人のビハール州は現在、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相率いるインド人民党(BJP)とジャナタ・ダル(統一派)が連立を組み政権を担っている。州政府は再選すれば、州民全員にワクチンを無料で提供することを約束している。

 インドはこれまでに800万人近い新型ウイルス感染者が確認されており、世界で2番目に多い。

 ビハールの州議会選挙は混雑を避けるために、28日と来月3日、7日の3日に分けて投票が行われる。新型ウイルスに感染している人も、保健当局の監督下で投票できる。

 州各地で選挙運動を行ったモディ氏は、28日には有権者に「あらゆる新型ウイルス予防策」を講じるよう呼び掛けた。

 だが、AFPが取材した投票所では、有権者は体が触れ合うぐらいの距離で並び、マスクを着用していた人はわずかだった。

 今回の州議会選挙は、モディ氏が3月下旬に厳格なロックダウン(都市封鎖)を導入して以来、国内で初めて実施される選挙となる。ロックダウンにより、数百万の出稼ぎ労働者が職を失い、その多くが貧困州ビハールの出身だった。職を失った人の中には、数日から数週間かけて歩いて帰郷する人もいた。

 失業と生活費の上昇が今回の選挙の主な焦点となっている。豪雨によりインド料理に欠かせないタマネギが不作で、政府は価格高騰を抑えようとしている。(c)AFP/Prakash Singh and Archana Thiyagarajan