【10月28日 東方新報】米シリコンバレーが産んだ新エネルギー自動車メーカー、テスラ(Tesla)の上海ギガファクトリーが、10月から正式に完成車輸出業務を始動した。今回の輸出車両はモデル3標準ナビゲーターアップブレード版。中国市場に供給しているのと同じモデルだ。輸出先はドイツ、フランス、イタリア、スイスなど十数か国のヨーロッパ諸国を中心としており、メード・イン・チャイナのテスラ車が、排ガス規制がますます厳しくなり、電気自動車市場の拡大に期待がよせられる欧州市場に本格的に進出する。

 テスラ上海ギガファクトリーの製造・運営総監督の宋鋼(Song Gang)氏は「中国製テスラの輸出はテスラのグローバル化の重要な一歩だ」「将来、中国が輸出するテスラは、メード・イン・チャイナであるだけでなく、設計、研究開発も中国で行うものになり、中国製造のハイクオリティー、先進性によって世界中の消費者に恩恵をもたらしたいと望んでいる」と語った。

 また、テスラの中国設計・研究開発チームは拡大し続けており、上海ギガファクトリーはより多くの製品のランプアップと研究開発を担っていき、中国消費者の需要にあった製品を生み出していくだろう、という。

 ヨーロッパ全体の自動車市場は十分に成熟しており、自動車製品に対する評価も厳しいことで知られる。自動車産業のアナリスト、張翔(Zhang Xiang)氏は「今回の中国製モデル3が欧州各国に輸出され、メード・イン・チャイナの新エネルギー車を代表するものとして、欧州市場に認められた」と評する。

「過去、中国の新エネルギー自動車輸出は、商用車両に集中しており、技術的要求は決して高くはなかったが、今回の乗用車輸出は中国製新エネルギー車産業にとって積極的な産業デモンストレーションとしての影響力もあり、中国自動車部品サプライヤーをグローバルチェーンにリンクさせるステップでもある」と語った。

 テスラはカリフォルニアにメーン工場を置くが、生産コストは上海ギガファクトリーの方が低く、欧州市場競争では有利だとみられている。 世界で新エネルギー車、電動自動車の市場競争は激化し、これまでは、各国メーカーが中国市場を奪い合うという構図だった。

 テスラはこれまで毎月生産する1万1000台を中国市場に投入し、主要ライバルの上海蔚来汽車(NIO)の毎月平均3500台を大きく上回る勢いでシェアを拡大してきた。

 だが、クレジットスイスのアナリストによれば、中国製造テスラが欧州市場向け輸出計画を打ち出したことは、中国市場の需要が生産を下回ったことを意味するということだ、と指摘している。今後、各メーカーは中国市場の奪い合いだけでなく、中国外の市場でもメード・イン・チャイナと激烈な競争を余儀なくされそうだ。 (c)東方新報/AFPBB News