【10月27日 東方新報】今年も中国の国家公務員試験「国考」の季節がやってきた。24日に試験申し込みが締め切られるが、19日時午前9時の時点で、1万3172の職位、2万5726人の募集枠に対し、全国で37万5221人が申し込み、24万8533人が筆記試験に参加するための資格審査を通過している。公共科目筆記試験日は11月29日。今年も狭き門に大勢の若者が挑む。

 湖南(Hunan)地区では420の職位769人の募集枠に8094人が応募、うち5911人が資格審査を通過した。国家統計局広東調査総隊東莞調査隊業務科室一級科員の職位では1人の募集に対し、19日時点で1064人の応募が殺到。千人に一人の挑戦だ。

 目下湖南省が最も競争率の高い難関省だが、省内で一番狭き門は省都長沙市(Changsha)ではなく、張家界市(Zhangjiajie)だ。国家税務総局張家界市武陵源区()税務局一級行政執法員1人の募集枠に204人が応募、171人が審査を通過している。つまり少なくとも171倍の競争率だ。中央档案館国家档案局中国第二歴史档案館利用処一級主任科員以下の枠は競争率が853倍だという。

 もっとも応募者のまったくない職位もあり、湖南地区だけでも応募者がない職位は15もある。職場が交通の極めて不便なところだったり、応募条件が比較的厳しかったりするからだ。

 2009年から応募者は連続12年100万人超えでその人気ぶりは一向に衰えない。2020年度の応募は最終的に143万7000人、平均60倍の倍率だった。2021年度は前年度よりも募集枠が6.62%増。前年よりは多少は競争率が下がるかもしれない。

 国家公務員局によれば、今回の国家国務院試験は正確な科学的選抜に焦点をあて、よりハイレベルの人材を確保することを重視しているという。例えば筆記試験科目の分類を進め、公共科目の筆記試験は中央機関や省直属機関、市レベル以下の直属機関の職位によって試験問題をわけて制作するという。また面接試験を職位における仕事内容や性質をさらに反映させて、公務員が備えるべき基本能力と異なる職位、異なるレベルの期間の要求に合致するかを体現するようにする。また一部中央一級の機関では差額試験を行い、試験成績、身体検査、状況観察などを総合して、職場に適切な人材を採用するようにするという。

 しかし、なぜ中国の若者たちは国家公務員になりたがるのだろう。それほど魅力的な仕事なのだろうか。なぜ公務員になりたいか?という問いかけに、ネットユーザーたちからは「体面があり、安定している」「人民に奉仕したい」「地方の貧困を改善させたい」といった意見が寄せられていた。だが実際に公務員になった人からは「給料は少ないし、職場は家から遠いし、圧力は強い」「会社勤めより忙しい」「新型コロナウイルスがきて全員休み返上、一般の人が連休のときに、公務員は必死にはたらいている」といった見方も。

 習近平(Xi Jinping)政権下では公務員への監督、管理が厳しくなっており、風紀、規律の順守もより厳しく求められるようになった。昔ほど、役得はなく、汚職腐敗で失脚させられるケースも増えている。外から見えるほどには、公務員も楽で安定している仕事ではないかもしれない。(c)東方新報/AFPBB News