【10月26日 AFP】腐敗し隣国イランの影響を受けているとしてイラクの支配層の排除を要求する一連のデモが始まってから1年となったイラクの首都バグダッドで25日、数千人規模の抗議デモが行われ、治安部隊とデモ参加者が衝突した。

 警察は投石するデモ隊に催涙ガス弾を発射し、政府の主要機関や議会、米大使館などが集まり、厳重な警備で一般市民の立ち入りが禁止されている市中心部のグリーンゾーン(Green Zone)に続く橋をデモ隊が渡るのを放水銃やバリケードなどで阻止した。警察と医療関係筋によると、警官とデモ隊およそ50人が軽傷を負った。

 この日は南部のバスラ(Basra)、ナジャフ(Najaf)、ナシリヤ(Nasiriyah)でも平穏なデモが行われた。

 一連のデモが始まった2019年10月以降、イラク各地で起きた治安部隊との衝突でこれまでに約600人が死亡、約3万人が負傷した。デモはイラクと関係の深いイランの対米関係が悪化したことでその勢いを弱め、さらに新型コロナウイルスの感染拡大の影響でほとんど行われなくなっていた。

 5月にムスタファ・カディミ(Mustafa al-Kadhemi)首相が就任したが、大きな改革は成し遂げられていない。世界銀行(World Bank)の報告書によると、石油輸出国機構(OPEC)加盟国で第2位の産油国であるイラクでは若者の3人に1人が失業している。(c)AFP/Ahmed al-Rubaye