【10月23日 AFP】中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は23日、朝鮮戦争(Korean War、1950〜53年)参戦70年を記念する式典で演説し、中国への「侵略」を試みる者たちには軍事的決意を持って応じると厳しく警告した。

 朝鮮戦争は、中国軍が米軍と大規模な直接戦闘を行った初めてかつ現時点で唯一の戦争だ。愛国主義に重きを置き中国軍の英雄的な逸話を散りばめた長時間の演説で、習氏は朝鮮戦争での勝利をたたえ、中国が自国の「玄関先で(中略)問題を起こそうとする」相手と戦う準備ができていることを思い出すと語った。

 習氏が「中国人は問題を起こさないし、問題を恐れもしない」と述べると、喝采が起きた。

 さらに習氏は、「われわれは自国の主権に対するいかなる損害も、決して座視しない。(中略)そして、どの国の勢力だろうと、神聖な祖国の領土を侵略したり分断したりすることを決して許さない」と続けた。

 式典に先立ち米国防総省が21日、台湾に10億ドル(約1050億円)超相当の空対地巡航ミサイルを売却することを発表しており、米中間の大きな火種になる恐れが指摘されている。

 中国政府は、朝鮮戦争の約3年間に中国軍の兵士19万7000人以上が死亡したとしている。

 国営メディアは先週から連日、ゴールデンタイムのニュース番組内で朝鮮戦争を生き延びた中国人兵士らのインタビューを取り上げるなどのプロパガンダを展開。23日には、戦争末期に中国軍の小部隊が米軍を撃退する様子を描いた、中国映画界の巨匠3人によるアクション・スリラー映画が全国で封切られた。

 こうした動きについて、欧州連合安全保障研究所(EUISS)のアジア部門上級アナリスト、アリス・エクマン(Alice Ekman)氏は式典前、「米国に直接に向けられたメッセージとみるべきだ。その点に疑いはない」と指摘。「習氏は、広義での戦意高揚を図っている」と述べている。(c)AFP