【10月23日 AFP】マレーシアの政府系ファンド「ワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)」をめぐる巨額汚職事件で刑事責任を問われていた米金融大手ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)は、汚職事件では米史上最高額となる29億ドル(約3000億円)の制裁金支払いに同意した。米司法省が22日、発表した。

 史上最高額となる16億ドル(約1670億円)の贈収賄が絡んだこの事件では、米金融システムを通じて巨額の資金が洗浄された。ゴールドマンは1MDBによる65億ドル(約6800億円)の調達に協力。米司法省によると、うち45億ドル(約4700億円)以上が2009年から15年かけて1MDB幹部やその関係者により横領された。

 ブライアン・C・ラビット(Brian C. Rabbitt )司法次官補代行は、ゴールドマンが事件の「責任を負うことを受け入れた」と述べた。

 ゴールドマンのマレーシア子会社は米裁判所で22日、9か国の当局が関わる捜査の幕引きに向けた司法取引の一環として、ゴールドマンとして初めて贈収賄法違反の罪を認めた。一方、親会社のゴールドマンは米裁判で無罪を主張し、3年半の「起訴猶予」に同意した。これには保護観察処分などの条件が含まれるとみられている。

 ゴールドマンはまた、デービッド・ソロモン(David Solomon)最高経営責任者(CEO)とその前任のロイド・ブランクファイン(Lloyd Blankfein)氏ら現旧幹部に支払った給与や賞与1億7400万ドル(約183億円)の返還を求める異例の措置を発表した。これは「クローバック」と呼ばれ、企業絡みの事件で行われることはほとんどない。

 ソロモンCEOは「一部の元社員が法律に違反し、同僚にうそをついて厳しい管理を迂回(うかい)したことは明らかだ」とし、「私たちは危険信号に対して適切に対処しなかったことを認識している」と述べた。(c)AFP