【10月22日 AFP】(更新)フランス・パリ郊外で先週、歴史教師のサミュエル・パティ(Samuel Paty)さん(47)が首を切断されて死亡した事件で、仏司法当局は21日、実行犯がパティさんを特定するのを手助けした14歳と15歳の生徒2人に対し、テロ関連の殺人共犯容疑で予審を開始することを決定した。司法筋が明らかにした。

 対テロ検察官のジャンフランソワ・リカール(Jean-Francois Ricard)氏はこれに先立ち、この生徒2人を含む7人を立件する方針を示していた。

 リカール氏によると、実行犯とされるロシア・チェチェン(Chechnya)共和国出身のアブドゥラフ・アンゾロフ(Abdullakh Anzorov)容疑者(18)はパティさんの容姿を知らなかったため、学校の生徒らに300~350ユーロ(約3万7000~4万3000円)を渡し、パティさんを見つける手助けをさせた。共犯容疑が掛けられている2人は、容疑者がパティさんに「屈辱を与え、襲う」つもりだと語った後も、容疑者と共に2時間以上にわたりパティさんが現れるのを待っていたという。

 パティさんは、授業で表現の自由に関する議論をした際にイスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の風刺画を見せたことから、襲撃の標的となった。ムハンマドの風刺画は2015年に起きたイスラム過激派による仏風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)本社襲撃事件のきっかけとなっていた。

 立件された7人にはこのほか、ソーシャルメディア上でパティさんへの反対運動を展開していた保護者の男が含まれる。男の娘はパティさんの生徒だったが、授業で風刺画が見せられた時には教室内にはいなかった。男は事件前、ワッツアップ(WhatsApp)で容疑者とメッセージをやり取りしていたことも分かっている。

 4人目の容疑者はイスラム過激思想で知られる男で、ジェラルド・ダルマナン(Gerald Darmanin)内相はこの男と保護者の男がパティさんを標的とした「ファトワ(宗教令)」を出したとの見解を示している。

 残る3人はアンゾロフ容疑者の友人。うち1人は車で容疑者を現場まで送り届けた人物、もう1人は容疑者の凶器購入に同行した人物とされる。(c)AFP/Mariëtte le Roux and Jurgen Hecker