【10月19日 AFP】(更新)フランス・パリ郊外で教師のサミュエル・パティ(Samuel Paty)さんが斬首されて死亡した事件を受け、警察は19日、イスラム過激派戦闘員「数十人」の家宅捜索を行った。ジェラルド・ダルマナン(Gerald Darmanin)内相が明らかにした。同内相は事件について、イスラム教令に基づく襲撃だったとの見方を示している。

 パティさんは、授業でイスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の風刺画を見せた後に、殺害された。

 ダルマナン内相によると、パティさんの死後ネットで飛び交うヘイトスピーチに関連し、80件以上の捜査が行われた。パティさんは、ネット上で誹謗(ひぼう)中傷の標的になっていたという。

 同内相は、今回のイスラム過激派ネットワークの一斉捜索には「フランス共和国の敵には一息つく間も与えはしない」とのメッセージを伝える狙いがあると説明した。

 実行犯のアブドゥラフ・アンゾロフ(Abdullakh Anzorov)容疑者(18)は、パティさんを殺害後、警察によって射殺された。同容疑者の携帯電話には、パティさんの写真と犯行声明が残されていた。

 事件をめぐり、現時点で11人が拘束されている。この中には、イスラム過激派として当局が把握していた人物1人と、パティさんの教え子の父親で、パティさんに抗議し解雇を求めていた人物も含まれている。

 ダルマナン氏は、民放ラジオのヨーロッパ1(Europe 1)で、この2人がパティさんに対する「ファトワ(宗教令)」を出したとの見方を示し、これを非難した。

 ファトワは、1989年にイランの当時の最高指導者ルホラ・ホメイニ(Ayatollah Khomeini)師が「悪魔の詩(Satanic Verses)」で知られる作家のサルマン・ラシュディ(Salman Rushdie)氏に出した「死刑宣告」がこれに当たる。

 21日には、パティさんの国葬が予定されている。(c)AFP