【10月17日 東方新報】中国では1日の国慶節(建国記念日)から8日までの大型連休中、観光客による「国内大移動」が起こり、消費も盛り上がった。新型コロナウイルスが収束して初の大型連休を迎え、経済に活力をもたらした。

 中国観光研究院によると、国内観光客は6億3700万人で、前年同期の79.0%まで回復。国内観光収入は4665億6000万元(約7兆3000億円)で69.9%の回復となった。昨年の水準には届かなかったが、今年5月1~5日の労働節連休中の国内旅行者が1億1500万人だったのと比べると、大幅増となった。

 全国の小売り・飲食業の主要な観測対象企業で見ると、8日間の連休中の売り上げは約1.6兆元(約25兆円)に上り、1日の平均売上高は昨年同期より4.9%増加。国民の消費意欲が回復していることを裏付けた。

 新型コロナがおおむね収束を迎えた8月、国内の総小売売上高は前年比0.5%増の3兆3570億元(約53兆円)となり、今年初めてのプラス成長を達成。市民の生活が以前のように戻りつつある中、国慶節のゴールデンウイークでさらに消費意欲が高まった。自然食品、自動車、スマート家電、貴金属などの売り上げが大幅に増加し、映画鑑賞、芸術鑑賞、書籍購入なども回復してきた。コロナ禍で急増したオンラインショッピングやモバイル決済も引き続き定着し、オンラインとオフラインを統合した新しいビジネスモデルと消費スタイルが浸透している。

 2008年のリーマンショック以来、中国は経済の主体を国際貿易から内需拡大にシフトし始めた。国内総生産(GDP)に対する経常黒字の比率は2007年の9.9%から現在は1%未満に低下。一方で、内需の経済成長に対する寄与度は2008年から7年続けて100%を超えた。昨年、経済成長に対する消費の貢献率は57.8%に達し、GDP成長を3.5ポイント押し上げ、6年連続で経済成長の最大の原動力になっている。

 中国は14億人の巨大市場を持ち、購買力のある4億人の中産階級がいる。同時に、世界でも最大規模の産業チェーンを擁し、オンラインショッピングや遠隔教育、遠隔医療などのデジタル経済も活発。これらの特色が経済成長を強力に後押ししてきた。

 中国の内需の拡大はもちろん、各国企業にとっても市場参入と投資のチャンスとなる。中国政府は内需拡大と国際貿易拡大を結びつけ、国内サイクルと国際サイクルを両輪として経済成長を図ろうとしている。

 今後の課題は、やはり新型コロナウイルスの感染状況だ。今月11日、山東省(Shandong)青島市(Qingdao)の病院で12人の感染が確認された。海外からの入国者を除き、国内感染者は2か月ぶりだ。再び感染が拡大すれば上向いた経済の勢いに冷や水を浴びせることになる。新型コロナ抑制が、経済回復の鍵となる。(c)東方新報/AFPBB News