【10月14日 AFP】トルコ当局は、同国最大都市イスタンブールの市営劇場で13日に初演を予定していた、クルド語による演劇の上演を禁止した。関係者らによると、同劇場の106年間の歴史で初めてのことだという。

 イスタンブール市政は世俗派の野党・共和人民党(CHP)が担っており、イスタンブール市営劇場(Istanbul Municipality City Theatre)は同党の監督下にある。

 市営劇場で劇団テアトラ・ジヤナ・ヌー(Teatra Jiyana Nu)が上演予定だったのは、イタリアのノーベル文学賞(Nobel Prize in Literature)受賞劇作家ダリオ・フォー(Dario Fo)の作品「Trumpets and Raspberries(トランペットとラズベリー)」のクルド語版「ベル(Beru)」。誘拐された政治家が救出後、病院の手違いで自分を助けた男そっくりに整形されてしまうというあらすじの風刺劇だ。

 トルコ当局はこのクルド語版劇が、トルコ政府がテロ組織に指定する非合法武装組織「クルド労働者党(PKK)」のプロパガンダを広めており、「治安上」の懸念があるとして上演を禁じた。禁止の決定が通告されたのは、初日開演のわずか数時間前だった。

 イスタンブール県のアリ・イェルリカヤ(Ali Yerlikaya)知事はツイッター(Twitter)で、「ベル」の上演が禁じられたのはクルド語による演劇だからではなく、PKKのプロパガンダが含まれていたからだと述べている。

 また、トルコ内務省報道官はツイートで「PKKというテロ組織のプロパガンダを広める演劇は、クルド語であろうと、トルコ語であろうと、アラビア語であろうと許されない」とし、クルド語だから禁止したのだという批判を「またしてもうそであり、またしても挑発だ」と一蹴した。また上演を許可した人物に対しては、法的処分が下されると述べた。(c)AFP/Fulya OZERKAN