【10月6日 AFP】宇宙に関する長年の謎の一つである「物質の総量」がこのほど、過去最高レベルの精度で測定された。米国の天体物理学者チームが研究論文を発表した。

 9月28日の天文学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル(Astrophysical Journal)」で発表されたこの測定結果では、宇宙を構成する物質とエネルギーの総量のうち、物質の割合は31.5%(誤差プラスマイナス1.3%)とされた。

 残りの68.5%は暗黒(ダーク)エネルギーだ。この正体不明のエネルギーは、宇宙の膨張速度を時間とともに加速させているとされ、1990年代末に遠方の超新星の観測によってその存在が初めて推測された。

 別の表現をすれば、これは観測可能な宇宙に存在する物質の総量が太陽質量の6.6×10の22乗倍に相当することを意味する。論文の筆頭執筆者で、米カリフォルニア大学リバーサイド校(UCR)の天体物理学者モハメド・アブドラ(Mohamed Abdullah)氏はAFPの取材で語った。

 この物質の大部分、割合にすると80%は暗黒物質(ダークマター)と呼ばれる。ダークマターの正体はまだ不明のままだが、何らかの未発見の素粒子で構成される可能性がある。

 今回の測定結果は、宇宙が誕生したビッグバン(Big Bang)から残存する低エネルギー放射に見られる温度変動の測定など、別の方法を通じて他の研究チームが過去に求めた値とよく一致するという。

 では、どのような方法で宇宙の質量を正確に測定するのだろうか。

 研究チームは今回、数千の銀河を持つ大規模な天体系である銀河団内での銀河の軌道運動を観測するために、約90年前に開発された技法の精度を高め利用した。

 軌道運動を観測することによって各銀河団の及ぼす重力の強さが分かり、そして各銀河団の全質量を推算することが可能になる。

 研究チームが今回用いた技法を最初に考案したのは、先駆的な天文学者のフリッツ・ツビッキー(Fritz Zwicky)氏だ。ツビッキー氏は1930年代、銀河団内にダークマターが存在するのではないかと最初に考えた人物でもある。

 ツビッキー氏は当時、太陽系が位置する天の川銀河(銀河系、Milky Way)に近い銀河団の一つ「かみのけ座銀河団(Coma Cluster)」を観測していた際、銀河団内にある銀河の重力質量では、銀河同士を引き付け続けるには不十分であることに気付き、目に見えない何らかの物質が作用しているとの見方を示していた。(c)AFP/Issam AHMED