【10月5日 AFP】ドイツ警察当局によると、北部ハンブルク(Hamburg)で4日、シナゴーグ(ユダヤ教の会堂)に入ろうとしていたユダヤ人男子学生(26)が男にシャベルで頭部を何度も殴られ、重傷を負う事件があった。ハイコ・マース(Heiko Maas)外相は、「非常に不快な反ユダヤ主義」だと襲撃を非難した。

 シナゴーグを警備していた警察官が、ドイツ陸軍の軍服風の格好をした男(29)を逮捕した。DPA通信は、男のズボンのポケットから「かぎ十字」を描いた紙が押収されたと報じている。

 襲撃された学生は男から自力で逃げ出し、居合わせた人から応急手当てを受けた後、病院に搬送されたという。

 DPAは警察発表として、容疑者はカザフスタン系ドイツ人で、錯乱状態のため取り調べは難航していると伝えた。

 世界ユダヤ人会議(WJC)のロナルド・ローダー(Ronald Lauder)会長は、ちょうど1年前にも独東部ハレ(Halle)で極右の男がシナゴーグを狙った襲撃事件を起こし、2人が撃たれて死亡したことに言及して今回の事件を非難した。

 各社報道によるとハンブルクのユダヤ人社会はこの日、ユダヤ教三大祭の一つ「仮庵(かりいお)の祭り(Sukkot)」を祝っており、事件発生時シナゴーグには大勢のユダヤ教徒が集まっていたという。

 ドイツでは反ユダヤ主義に基づく犯罪が年々増加傾向にあり、2019年には前年比13%増の2032件の犯罪が記録されている。独ユダヤ人社会は、新型コロナウイルスがユダヤ人に対する憎悪をあおる触媒として作用していると警鐘を鳴らしており、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相も先月、国内で反ユダヤ主義が台頭していることに遺憾の意を表明したばかりだった。(c)AFP