【10月5日 AFP】アルメニアとアゼルバイジャンの係争地ナゴルノカラバフ(Nagorno-Karabakh)をめぐる戦闘が激しさを増す中、同地の主要都市ステパナケルト(Stepanakert)やアゼルバイジャン第2の都市ギャンジャ(Ganja)は4日、ロケットや迫撃砲による攻撃を受けた。

 アルメニア当局によると、2日から砲撃にさらされているステパナケルトは4日に再び攻撃を受け、複数のAFP記者によると、定期的に爆発が起き、市内各地から黒い煙が立ち上っているという。

 一方のアゼルバイジャン国防省は、同国西部に位置する人口33万人超の都市ギャンジャが、アルメニア軍の砲撃を受けたと発表。がれきと化した建物の映像を公開した。

 4日夜にはアゼルバイジャン大統領顧問がツイッター(Twitter)に、工業都市ミンゲチャウル(Mingechavir)と首都バクーから約80キロ離れたアブシェロン(Absheron)地区で、アルメニア軍が「民間人と民間施設にミサイル攻撃」を開始したと投稿した。

 アルメニア系住民が樹立を宣言した未承認国家「ナゴルノカラバフ共和国」の大統領府は、「今後アゼルバイジャン全土に(軍事)行動を拡大する」と警告し、好戦的な姿勢をエスカレートさせた。

 アルメニア系住民が多数を占めるナゴルノカラバフはアルメニアとアゼルバイジャンの数十年来の係争地となっており、これをめぐって1週間前に戦闘が勃発。戦火が拡大する中、両国は民間人居住区を標的にしていると互いに非難している。

 戦闘開始以来、両国は合わせて244人の死者を報告しており、このうち民間人は42人に上る。だが、双方が相手部隊に多数の死傷者を出したと主張しており、実際の犠牲者数ははるかに多いとみられる。

 アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ(Ilham Aliyev)大統領は停戦の条件として、アルメニア軍の撤退と完全撤退までの計画表の提出、アゼルバイジャン領の保全の承認を要求しているが、アルメニア政府はこれを拒否している。(c)AFP/Herve Bar