【10月4日 AFP】男子テニスの世界ランキング1位で、全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2020)では線審に意図せずボールを当てて失格になったノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が、線審の仕事を今後は機械が担うべきだと話した。

 ジョコビッチは全米で、いら立ち任せに打ったボールが後ろにいた線審の女性の喉元に当たり失格となったが、同大会で例年通り線審がイン、アウトを判定していたのはそのときのアーサー・アッシュ・スタジアム(Arthur Ashe Stadium)を含めた2コートだけで、他は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)に伴う人員削減案の一環で、電子判定技術が採用されていた。

 同じく肉眼での判定にいまだに頼っている開催中の全仏オープンテニス(French Open 2020)でも、同様のシステムを導入すべきだという声は高まっている。ジョコビッチは、今こそルールを再考すべきタイミングだと信じている。

「このスポーツの伝統や文化を尊重した上で、線審を含めた試合中コートにいる人員に関しては、技術が進歩しているこの時代に、世界のどの大会にもウェスタン&サザンオープン(Western & Southern Open 2020)や全米オープンのような仕組みがない理由が全く分からない」

「テクノロジーは今や大きく進歩しているし、線審を残さなくてはならない理由はどこにもない。もちろん、テクノロジーが高価なのは理解しているから、お金の面では疑問符が付くのだろう」「しかし自分としては、みんながそちらの方向へ進んでいるのを感じるし、遅かれ早かれ線審の意義はなくなる」

「伝統以外の大きな存続理由があるなら教えてほしい。機械に切り替われば、ニューヨークで起こしたようなことを自分が繰り返す確率も低くなるはずだ」

 今大会では、全米王者のドミニク・ティエム(Dominic Thiem、オーストリア)、デニス・シャポバロフ(Denis Shapovalov、カナダ)、ステファノス・チチパス(Stefanos Tsitsipas、ギリシャ)といったトップ選手も判定制度の再考を求めている。

 ジョコビッチは3日、ラッキールーザーのダニエル・エライ・ガラン(Daniel Elahi Galan、コロンビア)に圧勝して最長タイとなる全仏11年連続の16強入りを果たした。(c)AFP/Dave JAMES