【10月2日 AFP】宇宙が誕生したビッグバン(Big Bang)から間もない頃に、超大質量ブラックホールの「宇宙のクモの巣」にかかった6つの銀河を発見したとする天文学者チームの研究結果が1日、発表された。謎多き超大質量ブラックホールの生成過程の解明に一歩近づく可能性があるという。論文は国際天文学誌アストロノミー&アストロフィジックス(Astronomy and Astrophysics)に掲載された。

 宇宙の歴史の初期に登場したブラックホールについては、ビッグバン直後に生まれた宇宙最古の星々である「ファーストスター」の崩壊によって形成されたと考えられている。だが、それらのブラックホールが巨大化したプロセスをめぐってはよくわかっておらず、天文学者らの頭を悩ませている。

 新たに発見されたブラックホールは、宇宙誕生から10億年未満のもので、太陽の10億倍の質量を持つ。発見には欧州南天天文台(ESO)の望遠鏡が用いられた。

 今回の発見については、天の川銀河(銀河系、Milky Way)の中心にも存在する、超大質量ブラックホールがどのようにして発達するのかを考える上で助けになると、科学者らは期待を寄せている。その理由は、銀河団を捕捉しているフィラメントが超大質量ブラックホールを「養う」のに十分な量のガスを運んでいると考えられているためだ。

 研究を率いたイタリア国立天体物理学研究所(INAF)の天文学者マルコ・ミニョーリ(Marco Mignoli)氏は、「宇宙のフィラメントは、クモの巣の糸のようなものだ」と話し、「銀河はフィラメントが交差する領域に位置して成長する。銀河団と中心の超大質量ブラックホールの両方に注がれる状態にあるガスの流れは、このフィラメントに沿って流れる可能性がある」と説明した。

 ESOの発表によると、クモの巣構造全体の大きさは銀河系の300倍以上だという。

 発見された6つの銀河については、現在の望遠鏡で検知できる光の限界にあったと論文には記された。これは、ブラックホール周辺の最も明るい天体が観測されたことと、望遠鏡で捉えることのできないさらに多くの銀河が存在している可能性もあることを意味するという。(c)AFP/Kelly MACNAMARA