【10月5日 AFP】建設工事や疾走する列車、車のクラクションなどの騒音が、過密状態の大都市にある狭いアパートの窓から流れ込んでくる。こうした状況にうんざりしていないだろうか?

 耳障りな都会の騒音を減らすと同時に、部屋に新鮮な空気を取り込むための方法を発見したとする研究結果がシンガポールで発表された。まるで巨大な「雑音除去機能付きヘッドホン」をアパートに取り付けるような方法だという。

 小さな都市国家のシンガポールでは、アパートに流れ込んでくる騒音の苦情を訴える人が多い。新たに開発されたこのシステムは、24個の小型スピーカーを窓の金属製の格子に取り付け、「音響シールド」を作り出す。道路や鉄道などの騒音を検知すると、24個のスピーカーから騒音の一部を相殺する音波が生成される。一部の高性能ヘッドホンとほぼ同じ方法だ。

 シンガポール・南洋理工大学(Nanyang Technological University)の研究チームを率いるガン・ウンセン(Gan Woon-Seng)氏は、試作システムが設置された研究室でAFPの取材に応じ、「雑音を利用して、騒音に対抗する」ようなことだと表現した。

 同氏によると、このシステムは外部から入ってくる音を10デシベル減少させることができる。列車や建築工事のような騒音に対して最も有効に機能する一方で、犬のほえ声のような予測不可能な高周波音は遮断されない。

 さらに外部からの騒音を遮断すると同時に「自然光を窓から取り入れ、換気もできる」とウンセン氏はいう。睡眠障害などを引き起こす騒音をカットすれば健康向上にもつながり、また換気のために窓を開けておけば、エネルギーを大量に消費するエアコンの使用も減らせるだろうとウンセン氏は期待する。

 窓格子の一つに小型スピーカーを24個取り付けるという発想に尻込みする人もいるかもしれないが、研究チームはより邪魔にならないシステムの開発に取り組んでおり、ゆくゆくは住居用ビルへの導入を売り込みたいと考えている。(c)AFP