【10月1日 AFP】スリランカ政府は9月29日、牛の食肉処理を禁止する計画を発表した。今回の決定は、与党内の仏教徒の影響力が高まっていることが背景にあるとみられている。

 牛の食肉処理の禁止は、年老いて田畑を耕せなくなった牛の世話をする制度の整備後、すぐに実施されるという。

 隣国インドでは、ヒンズー至上主義を掲げる政権が牛の食肉処理を制限したため、年老いた牛が道路をうろつき、交通渋滞を引き起こすことが増えている。

 スリランカでは近年、仏教徒とヒンズー教徒が宗教的な理由から牛肉を食べることを避けるようになっており、牛肉の消費量が減少している。

 産業自体も縮小しており、10年前には3万8700トンだった牛肉の生産量は、昨年にはわずか2万9870トンとなった。

 食肉処理部門の労働者は、人口2100万人の10%を占めるイスラム教徒が大半だ。スリランカでは仏教徒が約70%、ヒンズー教徒が12.5%となっている。

 昨年、スリランカの牛肉の輸入量は116トンにとどまっているが、当局は引き続き輸入は許可するとしている。

 ヒンズー教徒は牛を神聖なものとしている他、仏教徒にも牛肉を食べない人がいる。(c)AFP