【1月17日 AFP】インド北部ハリヤナ(Haryana)州当局は16日、刑務所の敷地内でヒンズー教徒が神聖視する牛を世話し、牛が持つ「神秘の力」によって受刑者らを更生に導くプログラムを実施すると明らかにした。

 牛の保護に当たるハリヤナ州政府の委員会によると、このプログラムは来月から州内6か所の刑務所で導入される予定で、すでに牛600頭の購入資金と牛舎の建設費用に150万ドル(約1億7000万円)の予算を割り当てているという。

 インドは現在、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相率いる与党インド人民党(BJP)がハリヤナ州を含む国内19州で過半数を占めている。同党はヒンズー至上主義を掲げており、牛を保護する政策を推し進めている。

 ハリヤナ州政府の支援を受ける「牛の福祉委員会(Cow Welfare Commission)」のブハニ・ラム・マングラ(Bhani Ram Mangla)委員長は、受刑者たちは「牛セラピー」プログラムによって犯罪から抜け出すことができるだろうと期待を寄せている。

 マングラ氏は「牛はヒンズー教の一部であり、世話をする人びとに神秘の力をもたらす」と述べ、「その恩恵は無数にある」と強調。また、新鮮な牛乳で受刑者らを「清める」ことも更生プログラムの一環だと説明した。

 刑務所の牧場から出る牛のふん尿は地元の市場で販売されるという。(c)AFP