【9月28日 AFP】(更新、写真追加)旧ソビエト連邦のアルメニアとアゼルバイジャンが領有権を争うナゴルノカラバフ(Nagorno-Karabakh)のアルメニア系分離派は28日、アゼルバイジャン軍との戦闘が続いており、新たに戦闘員15人が死亡したと発表した。27日に発生した衝突の死者は、民間人7人を含め少なくとも39人となった。

 アルメニアとアゼルバイジャンは数十年にわたり、ナゴルノカラバフの帰属をめぐって対立している。アゼルバイジャンの自治州だったナゴルノカラバフでは、キリスト教徒で多数派のアルメニア系住民が1990年代初め、イスラム教徒が多数派を占めるアゼルバイジャンからの分離を要求し、死者3万人を出す武力紛争の末に支配権を握った。2016年にも軍事衝突で犠牲者が出ている。

 アルメニア系住民が樹立を宣言した未承認国家「ナゴルノカラバフ共和国」の国防省は28日、兵士・戦闘員の死者は計32人となったと発表した。この他、アゼルバイジャン系住民の一家5人とアルメニア系住民の女性と子供、合わせて7人の民間人が死亡したことが確認されている。

 アルメニア国防省も同日、アゼルバイジャン軍との「激しい戦闘が夜通し続いた」と発表。この戦闘で、27日にアゼルバイジャン軍に占拠された地域を奪還し、そこには「アゼルバイジャン兵数十人の遺体」が残されたと主張した。

 一方、アゼルバイジャン国防省は、自国軍がさらに前進したと主張。「砲撃と空爆で敵の陣地を攻撃し、タリシュ(Talysh)村周辺の戦略的要所を複数奪取した」と発表した。自国軍の死者の有無は明らかにしていない。

 アゼルバイジャン政府は、アルメニア系の分離派550人を殺害したとも主張しているが、アルメニア側は否定している。

 戦闘の激化を受け、アルメニア・アゼルバイジャン両国民の間では愛国心が高まっている。アルメニアとナゴルノカラバフ当局は27日、戒厳令と軍事動員を宣言。アゼルバイジャンも大都市に戒厳令と外出禁止令を発令した。

 アルメニアと軍事同盟を結ぶロシアと、アゼルバイジャンを支援するトルコも戦闘に巻き込まれる恐れがある。アルメニアは、トルコが紛争に介入し戦場に傭兵(ようへい)を派遣していると非難している。 (c)AFP/Mariam HARUTYUNYAN with Emil GULIYEV in Baku