【9月26日 AFP】中国当局が新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)で取り壊したモスク(イスラム礼拝所)は約1万6000に上っている。オーストラリアのシンクタンクが25日、新疆で広範囲に行われている人権侵害についての最新の報告書で発表した。

 豪シンクタンク「オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)」は、人工衛星が撮影した新疆のモスクの画像と統計モデリングを基にした報告書を発表。同報告書によると、これまでに取り壊されたか損傷を受けたモスクは約1万6000に及んでいる。

 モスクの破壊は大半が過去3年以内に行われており、8500のモスクが完全に破壊されたと推定されている。特に集中しているのが区都ウルムチ(Urumqi)とカシュガル(Kashgar)だという。解体を免れた多くのモスクも、ドーム型の屋根や尖塔(せんとう)が撤去され、新疆周辺で無傷か、損傷を受けながらも残されているモスクは1万5500以下だと推定している。

 報告書の内容が正しければ、現在新疆にあるモスクの数は1960年代の文化大革命(Cultural Revolution)を機に始まった中国の激動の10年間以降で最も少ない水準にあることになる。

 ASPIは、新疆にある主なイスラム教の礼拝所や墓地、巡礼路なども3分の1近くが完全に破壊されていると報告している。一方で、同シンクタンクの調査によれば、キリスト教会や仏教寺院は一切、損傷を受けていない。

 AFPも昨年の調査で、新疆で数十に及ぶ墓地が破壊され、人骨や壊された墓のれんがが放置されていることを確認した。

 今回の調査結果について中国外務省は25日、ASPIは「学術的な信頼性」に欠け、「反中の調査報告書や虚偽の情報」を発表していると述べた。(c)AFP