【9月23日 AFP】新型コロナウイルスの流行により巣ごもりを続ける消費者が娯楽を求める中で、ソニー(Sony)とマイクロソフト(Microsoft)が相次いで発売する第9世代ゲーム機、「プレイステーション5(PS5)」と「Xbox Series X」は、販売台数で大きな成功を収めるとみられる。ただ、ゲームの遊び方は変化しつつあり、両機は最後のゲーム機となる可能性もある。

 ソニーとマイクロソフトは過去数か月間にわたりPS5とXbox Series Xの情報を小出しにして消費者の期待を高めた末、ついに11月中旬の発売を発表。PS5は予約受け付け開始直後に売り切れとなり、実際に多くのゲーマーが次世代機への買い替えを待ち望んでいることが示された。

 現世代のゲーム機が発売されたのは2013年であり、次世代機はハード面で大幅なアップグレードとなる。証券会社ミッドキャップ・パートナーズ(Midcap Partners)のゲーム業界アナリスト、シャルルルイ・プラナード(Charles-Louis Planade)氏は、ゲーマー人口の増加を考えると、今年の新型機が現行機と同様の成功を収めることは可能だとみている。

 一方で、業界の変化を理由に、ゲーム機の未来を疑問視する見方もある。背景にあるのは、大型・高額なゲーム機ではなく、インターネットでのストリーミング配信を通じてゲームを遊ぶ「クラウドゲーム」サービスへの移行だ。

 独立系ゲーム開発企業ゲーム・ベーカーズ(Game Bakers)の共同創業者、オドレイ・ルプランス(Audrey Leprince)氏は「この世代が最後の実機となる可能性がある」と述べている。

■「ネットフリックス化」が進むゲーム

 ルプランス氏は、ゲームのインターフェースやゲーム自体に大きな革新が起きていないと指摘。一方で業界に変化を起こしているのは定額サービスモデルへの移行であり、ゲーム機メーカー各社は「ビデオゲーム界のネットフリックス(Netflix)」になりつつあるとした。

 ルプランス氏いわく、マイクロソフトの「Xbox Game Pass」やソニーの「PlayStation Plus」といった定額サービスは今後、「映画・音楽業界が経験したような大革命をゲーム業界にもたらす」という。

 Game Passはすでにネットフリックス型サービスを展開しており、加入者は多数のゲームを利用可能だ。一方のPlayStation Plusは、オンラインマルチプレーなど、ゲーマーにとって魅力のある各種サービスを提供している。

 プラナード氏はゲーム機メーカーの課題として、自社の定額サービス加入者をいかに囲い込み、IT大手のグーグル(Google)やアマゾン・ドットコム(Amazon.com)などに参入の機会を与えないようにするかが重要だと指摘した。