【9月18日 AFP】米北東部メーン州で、結婚式を発端とする新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の「スーパースプレッダー」現象が発生し、これまでに177人の感染と7人の死亡が確認された。同州では流行のピークは過ぎたとみられていただけに、改めて新型ウイルスの恐ろしさが浮き彫りになった。

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 発端となった結婚式は8月初旬、人口わずか4000人の風光明媚(めいび)な町ミリノケット(Millinocket)近郊の教会で執り行われ、65人が参列した。これは、当局が定めた集会参加者の上限50人を超えていた。

 式の後には、近くのホテル「ビッグ・ムース・イン(Big Moose Inn)」で披露宴が行われた。

 10日後、この結婚式との関連が指摘される20人余りがCOVID-19検査で陽性と診断され、米疾病対策センター(CDC)が調査に乗り出した。

 CDCメーン州支部の二ラブ・シャー(Nirav Shah)支部長は17日、死者は合わせて7人になり、その全員が結婚式に参列してはいなかったと発表した。

 接触者の追跡調査では、結婚式が発端となったCOVID-19のホットスポット(局地的流行地)が州内に複数存在することが判明した。その一つはミリノケットから約370キロ離れた刑務所で、結婚式に参列した看守1人から80人以上に感染が広がっていた。また、約160キロ離れた老人ホームでは39人が感染し、6人が死亡した。

 ミリノケットや周辺地域では、流行初期に導入したソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)の基準が緩和されていたが、このスーパースプレッダー現象は残酷な警鐘となった。

 ジャネット・ミルズ(Janet Mills)州知事は17日、人口約130万人の州全住民に向け「これまでの努力の成果が、きっかけ一つで台無しになる恐れがある」とコロナ再燃への警戒を呼び掛けた。

 スーパースプレッダー現象は新型コロナ流行の初期から世界各地で報告されている。米国では最近、複数の大学でこうした集団感染が発生し、学生たちが一時帰宅を余儀なくされている。(c)AFP/Joseph PREZIOSO