【9月23日 AFP】香港警察内部に新たに設けられた公安部隊が自分のところにやって来るまで、時間はあとどのくらい残されているのか。香港の著名な民主活動家、黄之鋒(ジョシュア・ウォン、Joshua Wong)氏(23)が、こう考えない日はない。

 黄氏は、反政府デモを率いたことで身柄を拘束されたことが2度ある。しかし、6月に中国政府が香港への統制を強化した国家安全維持法(国安法)を施行して以来、リスクは大幅に高まった。

「毎晩寝るとき、いつ警察に踏み込まれるだろうということは頭に浮かばない」と言う黄氏。AFPの取材に対し、「どの活動家も考えるのは、自分のプライベートな時間はあとどれほど残されているのかという問題だ」と話した。「国安法の下で中国政府に逮捕されるまで、友人たちと過ごせる時間はあとどのくらいあるのだろう」

 香港は、英国から中国に返還された際、2047年までの50年間は自由と自治を約束されていたが、黄氏によると、その自由は国安法によって著しく変化した。その変化を自身の日常生活でもすぐに実感するようになったという。

 7月中旬、黄氏が地方選挙に立候補しようとしたところ、政治的見解を理由に却下された。この頃、少なくとも6台の自動車に尾行されていることに気付いた。

「まるでハリウッド(Hollywood)映画のよう」に「運転手らはトランシーバーで連絡し合って連携していた」という。

 国安法の条項によって、中国本土の公安要員は香港で初めて堂々と活動できるようになった。

 黄氏は公共交通機関の使用をほぼやめ、代わりに友人に運転手やボディーガードを務めてもらい、デジタル端末のセキュリティーもアップグレードした。

「国安法の施行以来、香港での自由とプライバシーと安全は当たり前のものではなくなった」

 中国政府による国安法は、香港を昨年揺るがした大規模な民主化デモを一掃するために立案された。デモでは暴力的行為もたびたび発生した。

 黄氏は、自分が主要なターゲットであることも理解している。