【9月16日 AFP】(更新)日立製作所(Hitachi)は16日、英ウェールズにおける原子力発電所の建設計画について、投資環境の悪化を理由に撤退を発表した。英国が掲げる低炭素エネルギー政策への打撃となる。

 日立は発表の中で、ウェールズ北西部沖アングルシー(Anglesey)島で進められていた同計画はすでに20か月にわたって凍結されており、「新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより、投資環境が厳しさを増していることも考慮した」と説明した。

 今後、英政府や関係機関と共に、原子炉のライセンスや建設予定地の扱いについて調整していくとしている。

 日立はアングルシー島のウィルバニューウィッド(Wylfa Newydd)に原子炉2基を建設する計画だったが、資金調達面での懸念から、計画は昨年1月から凍結されていた。

 その建設費用は最大で200億ポンド(約2兆7000億円)と推算され、目標発電能力は、英国全体が必要とする電力の約6%に当たる3ギガワットだった。

 先月には、日立子会社のホライズン・ニュークリア・パワー(Horizon Nuclear Power)が、同計画の実現に向けた尽力を続けていると強調していたが、今週に入り日本のメディアが撤退予定を報じ、現地に動揺が広がっていた。

 福島第一原発事故以降、日本国内における原子炉の新規需要が実質ゼロとなったことから、日本は原発事業の海外での拡大を目指していたが、今回の日立の決定は、この動きにも影を落とすことになる。

 2018年には東芝(Toshiba)も、英イングランド北西部の原発計画から撤退している。(c)AFP