新型コロナ、重症患者治療における進歩と期待
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【9月16日 AFP】新型コロナウイルスの重症患者に医療従事者が提供できる治療は、パンデミック(世界的な大流行)が始まった当初よりもはるかに効果的になっており、より多くの命が救われる可能性がある。フランスと米国の専門家らが指摘した。
AFPの取材に応じた専門家らは、ステロイド剤を用いた治療と抗凝血剤のより積極的な使用、そして合併症のリスクがある気管挿管を避けることが成功のカギだと述べる。
現在提供されている治療について、フランス集中治療学会(French Intensive Care Society)のエリック・モーリー(Eric Maury)会長は、「かなりの進歩を遂げている」と話し、また米ニューヨーク地区にある22の病院に所属する医師1000人で構成される組織「プロヘルス・ケア・アソシエイツ(ProHEALTH Care Associates)」で感染症部門を統括するダニエル・グリフィン(Daniel Griffin)氏も「米国では、生存率が著しく上昇している」と説明した。
治療が向上した点として最初に挙げられるのが「薬」だ。
新型コロナウイルスの重症患者にステロイド剤が効果があることは、6月以降に発表の複数の研究でも言及されている。
9月2日の米国医師会雑誌(JAMA)で発表された研究では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症型の患者で、抗炎症薬ステロイドの投与開始から28日後の致死率が、投与していない患者に比べて21%低下することが記された。
死亡率の有意な低下を示した薬剤はステロイド以外にない。
また、抗凝血剤の投与が「これまでよりかなり早期に、はるかに積極的に」行われるようになったことも歓迎すべき変化であると、フランス麻酔・集中治療学会(SFAR)のマーク・レオーネ(Marc Leone)氏は指摘する。抗凝血剤の投与はCOVID-19の重篤な合併症の一つである血栓を防止する助けになる。