【9月15日 AFP】デンマーク領グリーンランド(Greenland)の気温上昇の影響で、北極圏最大の氷棚から、フランスの首都パリの面積を上回る氷塊が分離したと科学者らが14日発表した。

 分離したのはグリーンランド北東にある巨大氷河「Nioghalvfjerdsfjorden」のうち面積113平方キロの部分。グリーンランドの平均気温が上昇していることから、科学者らは分離が起きることを予想していた。

 デンマーク・グリーンランド地質調査所(GEUS)は分離部分の衛星画像を公表した。「カービング」と呼ばれる氷河の分離・崩壊は通常の現象だが、これほど大きな面積で分離するのは珍しい。

 GEUSによると1999年以降、この氷棚からは米ニューヨーク・マンハッタン(Manhattan)の面積の2倍に相当する約160平方キロの氷塊が失われ、崩壊スピードはここ2年間で加速している。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された研究によると、1992年から2018年の間に起きた海面上昇のうち約1.1センチ分が、グリーンランドの氷床の融解に起因しているという。

 英リンカーン大学(University of Lincoln)によるさらに最近の研究では、グリーンランドの氷床融解によって2100年までに10~12センチの海面上昇が起きると予測している。

 1980年以降、グリーンランド周辺の平均気温は約3度上昇しており、年内には記録的水準に達すると予想されている。

 独フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン・ニュルンベルク(Friedrich-Alexander Universitat Erlangen-Nurnberg)の研究者ジェニー・タートン(Jenny Turton)氏によると、近年の熱波がグリーンランドの氷床融解をさらに加速させている。(c)AFP