【9月15日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)を統括する国際自動車連盟(FIA)は14日、メルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)が、13日に行われた今季第9戦トスカーナGP(Tuscan Grand Prix 2020)で警察の暴力を強調するTシャツを着用していたことに関して、規則違反の可能性を調査していると明らかにした。

 F1で通算6度の年間優勝を果たし、今季のドライバーズ選手権でもトップを走っているハミルトンは、自身が優勝したトスカーナGP決勝の前後に行われた反人種差別を訴えるセレモニーやテレビインタビューの中で、「ブリアンナ・テイラー(Breonna Taylor)を殺した警官たちを捕まえろ」とのメッセージが記されたTシャツを身に着けていた。

 FIAの広報担当者は英BBCに対して、この件に関してハミルトンが「調査対象となっている」と語った。同選手は今季これまでの全レースで人種差別抗議運動「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」のTシャツを着ていたが、FIAからそれについて言及されることはなかった。

 同連盟の規則では、ドライバーに対して「FIAの利害に悪影響を及ぼすような政治的あるいは宗教的」な広告を利用してはならないと記されている。

 スポーツ界では、米ニューヨークで開催された今年の全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2020)で女子シングルスを制した大坂なおみ(Naomi Osaka)も、アフリカ系米国人の救急救命士で3月に米ケンタッキー州の自宅で警官に射殺されたテイラーさん(26)の名前が記されたマスクをつけて、理不尽な死を世間に喚起した。

 ハミルトンはキャリア90回目の優勝を果たしたレース後、「じっくり考えた末にあのTシャツを身に着けることにした。あれを着ることによって、道で殺されている人々がいること、自宅で殺された人がいること、そして家を間違えた犯人たちが、今も自由に歩いていることに注目を集めたかった」と語った。

「僕らは休んではいられない。これからもこの問題を喚起していく必要がある。なおみは素晴らしい行動をしている。だから、大きな祝福を送りたい。彼女は自分のプラットフォームを使って行動し、素晴らしいインスピレーションとなっている」(c)AFP