【9月12日 AFP】アフガニスタン政府と旧支配勢力タリバン(Taliban)の和平協議が12日、カタールで開幕し、対立する両者の代表らが顔をそろえた。ただ、アフガニスタンでは現在も紛争が続いており、先行きは不透明な状況だ。

 政府代表としてタリバンとの和平交渉を率いてきたアブドラ・アブドラ(Abdullah Abdullah)前行政長官は、米国とタリバンが今年2月に和平合意を結んでから一般市民1万2000人が死亡し、1万5000人が負傷したと指摘し、即時の停戦を呼び掛けた。

 カタールの首都ドーハで和平協議の開幕式に臨んだアブドラ氏は、「和平のためのこの特別な機会を生かさなければならない」「暴力をやめ、できるだけ早期に停戦に合意しなければならない」と訴えた。

 開幕式にはアブドラ氏のほか、タリバンの共同創設者であるムラー・アブドゥル・ガニ・バラダル(Mullah Abdul Ghani Baradar)氏やマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官が出席した。

 米国が仲介した和平協議は3月に開始予定だったが、捕虜交換をめぐるタリバンとアフガン政府の対立により半年にわたって延期されていた。

 またこの前日は、米国をアフガニスタン侵攻に向かわせ、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の創設者、故ウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者を保護していたタリバン政権の崩壊のきっかけとなった、2001年の米同時多発攻撃からちょうど19年に当たった。

 ポンペオ氏は開幕式に先立ち、アフガン政府・タリバン双方に対して「暴力を減らし、アフガン国民が求める、戦争状態にない政府が統治する和平国家に進むため」の道筋を具現化するよう求めた。

 11月の米大統領で再選を目指すドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は、米史上最長となるアフガン戦争の終結を強く求めており、来年までにアフガニスタンから撤退するよう各国の軍隊に要請している。

 だが、包括的な和平合意の締結までには数年かかる可能性もあり、国の在り方をめぐって対立する両者の考えがまとまるかは、双方が歩み寄れるかどうかにかかっている。

 また、アシュラフ・ガニ(Ashraf Ghani)大統領率いる政府の認知を拒否し続けているタリバンは、アフガニスタンを「イスラム首長国」にするよう要求してくるものとみられる。

 一方のガニ政権は、女性の権利向上など多くの権利を定めた立憲共和国として、欧米の支援を受ける現状を今後も維持する方針とみられる。(c)AFP/Gregory Walton with Emal Haidary in Kabul