■「もっと楽しめている」

 一方、現在31歳のアザレンカは、準決勝で往年のライバルであるセレーナを1セットダウンから撃破し、自身3度目の全米オープン決勝に駒を進めて自信に満ちあふれている。グランドスラムの決勝に進出するのは、セレーナに2年連続で敗れた2013年の全米オープン以来となった。

 2012年と2013年に全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament)を制しているアザレンカは、それ以降の数年間は試練の連続で、故障に悩まされた2014年と2015年の後、2016年に誕生した息子の親権をめぐる法廷闘争でもキャリアを一時中断することになった。

 現在は世界ランク27位まで戻してきているアザンレンカだが、今大会と同じくニューヨークで行われた前哨戦のウェスタン&サザンオープン(Western & Southern Open 2020)でタイトルを手にしたのに続き、今大会ではおとぎ話のような快進撃を見せている。

 今大会の決勝で大坂を下せば、出産を経てグランドスラムのシングルス優勝を果たした女子選手としては、ベルギーのキム・クライシュテルス(Kim Clijsters)、オーストラリアのマーガレット・コート(Margaret Court)氏とイボンヌ・グーラゴング・コーリー(Evonne Goolagong Cawley)氏に続き、オープン化以降では史上4人目の快挙となる。

 アザレンカは人生において禅の恩恵を受けているといい、ノーシードとして上位進出を予想するコメンテーターがほとんどいなかったことも喜んで受け止めている様子で、「精神的には全く違う境地に達している。全豪オープンで優勝した7年前は、決勝に進むのは当然のように期待されていた」「でも今回はそのときとは違っている。今年はもっと楽しめているし、充実感とうれしさが増している」と語った。

 大坂とアザレンカは先月のウェスタン&サザンオープンでもともに決勝に勝ち進んだが、大坂がハムストリングの負傷で棄権したため対決は実現しなかった。アザレンカは大坂について、「彼女はとてもパワフルな選手」「素晴らしいチャンピオン。すでに(グランドスラムで)2勝している。お互いに次は3勝目になるのでは?」と話した。(c)AFP/Peter HUTCHISON